SAN(スチレン・アクリロニトリル):密度・印刷温度・選定基準
密度: 1.08 g/cm³ノズル温度: 230–260°Cベッド温度: 80–100°C
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SAN(スチレン・アクリロニトリル)は、実質的にブタジエンゴムを含まないABSとも言える硬く透明な共重合体だ。耐衝撃性は多少犠牲になるが、その代わり剛性、耐傷性、油や脂への耐薬品性で優れる。FDMではABSほど普及していないが、剛性と透明性を両立させたい場面では合理的な選択肢である。
主な特性
| パラメータ | 値 |
|---|---|
| 密度 | ≈1.08 g/cm³ |
| ノズル温度 | 230–260°C |
| ベッド温度 | 80–100°C |
| パーツ冷却ファン | 最小限 |
| 収縮 | 中程度、ABSより低い |
| 密閉チャンバー | あった方が望ましい |
使うべき場面
- 耐衝撃性より耐傷性が重要な、透明で硬い筐体や覗き窓。
- 油や洗剤に触れるキッチン用品や容器。
- 加工のしやすさを保ちつつABSより高い剛性が求められる部品。
- 量産で射出成形SANが使われる消費財のプロトタイプ。
別の素材を検討すべき場面
- 耐衝撃性が必要な場合 — SANはABSよりはっきりと脆いため、衝撃荷重を受ける部品にはABSかASAの方が向く。
- 耐UV性と屋外使用が重要な場合 — ASAの方がはっきりと優れ、SANは日光で黄変・劣化する。
- 最大限の透明感と光沢が必要な場合 — 印刷が容易でより安定した見た目が得られる、透明タイプのPETGを検討する。
メリットとデメリット
メリット: 良好な透明感と表面光沢、ABSに対して高い剛性と耐傷性、油や家庭用洗剤への良好な耐性、ABSより印刷キャリブレーションが容易。
デメリット: ABSよりはっきりと脆く、衝撃や点荷重に弱い;長時間のUV照射で黄変しやすい;印刷中に臭いを発するため換気が望ましい;フィラメントのメーカーとカラーバリエーションが限られる。
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原価への影響
SANはABSと似た温度域で印刷するためエネルギーコストは同程度だが、脆さゆえに完成部品の取り扱いにより注意が必要で、プリントプラットフォームからの取り外しや輸送時の欠損リスクはABSより高く、これを不良率に織り込むべきである。基本樹脂ほど普及していないため、フィラメント価格や特定の仕入先での入手性がはっきり変動することがあり、ロット計算の前に確認しておくべきである。